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あなご獲り
パネルに石膏地、油彩、水干
1303×720mm
2016
タブの木の話
「昔はタブの木の枝を束ねて、縄でくくって、海に浮かべてたんだ。
そうしておくと、あなごが絡まってるんだ。」
「いまはあなご獲り用のワナが売ってるからね。使う機会がなくなったから、タブの木も伸び放題だ」
朴島のただこさん
「タブの木は知らないけど、モチの木はあるよ。モチの木を縄でくくって、海に入れておくと、小さい蟹がくっついてくる。これは子どもの頃に遊びでやったもんだ」
「トリモチってわかるか?まるめてねっぱしておくと、鳥がそこにくっつくんだ。」
寒風沢の待合所で
浦戸諸島はタブの木の島だ。小さいものから大木まで、島中にわさわさと生えている。
海の上から島をみると、遠くからでも深い緑の大木が生い茂っているのがよくみえる。
むかしは漁師が海から戻ってくるときの島の目印になっていた。
他の地域でタブの木は、家具や船、薬、染料、ロウソクなど、実用的な利用があった。その利用が信仰へとかわり、神事などで祀られる存在になっている地域もある。
浦戸で聞けたタブの話はいまのところ「あなご獲り」のことだけだ。
夏のあなご獲りの時期になると、枝をきって、縄で束ねたものを湾に沈めておく。しばらくすると葉っぱの隙間にあなごが絡まっている。
これだけタブの木が生えているから、他の役割もあったのではないかとつい想像してみたくなる。
ちなみに、タブの木をモチの木と呼ぶ地域もあるようだ。
朴島のタブと寒風沢島のモチは同じだろうか。
海を挟んですぐそばの2つの島であっても、ちょっとずつ異なる部分を発見すると嬉しくなる。
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